飴玉

男の体は飴玉で出来ていた。その愛のような甘さに、人々は彼の身体を求めて争った。彼を手に入れる者はその時々で変わったが、誰もがその甘さに酔いしれ彼を舐め続けた。そうするうちに彼の身体は小さくなっていった。そんな彼を助けたいと思う女がいた。私は飴玉としての貴方が欲しいわけじゃない。純粋に貴方が好きで、小さくなっていく貴方を見るのが耐えられないのだと。彼は彼女の手をとり、逃げた。そして言う。君のおかげで僕の身体はわずかながらこうして残っている。僕も君が好きだ。だからこのまま誰も知らない二人だけの国へ行こう。そして死ぬまでずっと傍にいてほしい。答えは決まっていた。二人は誓いのキスをした。彼は溶けきって死んだ。